こんにちは。今日は僕の大好きなエッセイを紹介します。この本も旅の途中で出会いました。確か
インドのパハールガンジーだったと思います。村上春樹といえば日本を代表する作家ですね。
小説も好きですが、僕はどっちかというとエッセイの方が好きですね。エッセイの方が電車の中
とか、移動中に読みやすいですよね。
今日はその中でも僕の一番好きなエッセイを紹介したいと思います。ちなみに僕の一番好きな
村上春樹の小説は「海辺のカフカ」です。
村上朝日堂 はいほー!
新潮社 1992年発行

ここに収められたエッセイは1983年から約5年間にわたって書かれたものです。その大部分は
「ハイファッション」という雑誌に連載されました。連載は35回続いたのですが、12回分は
あまり気に入らなかったので単行本には収録せず、他のエッセイを8編追加しました。
※あとがきより
年齢的には34歳から39歳までに書かれたものです
感想
僕はこの本は何回も読んでますね。理屈抜きで面白いです。30年以上前に書かれたものとは思え
ないですね。全然古い感じしませんね。なぜでしょうか?好きなことを好きなように書いている
という感じで、読んでいて肩が凝りません。とてものんびりとしたエッセイでリラックスして読
めます。
30代の村上春樹がどんな事考えて生活していたのか?が何となく伝わってきます。
作家「村上春樹」と聞くと何となくシリアスなイメージですが、このエッセイを読む限り、結構
のんびりしていて感じの良さそうな印象を受けます。思わず「クスッ」としてしまいます。
オススメです。
僕が好きなのは
「千葉県 タクシードライバー」P32
「チャンドラー方式」P39
「日本長期信用銀行のカルチャーショック」P44
「恋に落ちなくて」P81
「うさぎ亭」主人 P90
ですね。
更にこの本の中で僕の好きな文章を一部抜粋して紹介したいと思います。
それはそうと、僕は制服というのが昔から大嫌いだった。高校時代は学生服を着せられて、あれには本当にうんざりした。全く無意味な事だと思った。
でも僕がいちばん驚いたのは、全校生徒に制服廃止、私服化のアンケートを取ったときに約7割くらいが「制服のままでいい」と答えた事だった。
これには僕もいささか唖然とした。そうか、日本というのは基本的にとことん制服が好きなんだと思った。みんなが私服化に反対した一番の理由は
「私服になると服装が華美にになり、競争が生まれて好ましくない」というものだった。僕はこれが信じられなかった。それはあまりにも管理者的な
、事なかれ主義的な発想である。すぐそこに自由があるというのに、どうしてそれを手に取らないのだ?どうして後戻りなんかするんだ?まず、自由を
手に入れる事、そしてそれを維持するために自分たちで問題を解決していく事。それが我々の世界の原則ではないのか?
それ以来僕は日本という国を心の底であまり信用しなくなった。今でもあまり信用していない。何か事があったらどうなるかわからないぞ、と
いつも肝に銘じている。P45〜46
「そういうものだ」、と「それがどうした」、という言葉は人生における二大キーワードである。経験的に言ってこの2つの言葉さえしっかりと頭に刻み込んでおけば大抵の人生の局面は大過なくやり過ごせてしまう。たとえば、せっかく駅のフォームの階段を駆けのぼったのに、間一髪で電車のドアが閉まってしまったりすると、ものすごく腹が立つものであるが、このようなときは「そういうものだ」とおもえばいい。つまり電車のドアというのはたいてい目の前でしまっちゃうものだと認識し納得すればいいのである。そう思えば別に腹も立たない。世界がその原則に従って然るべき方向に流れているだけの話である。
しかしその電車に乗り遅れたおかげで待ち合わせの時間に遅れる事だってある。そういう場合には「それがどうした」と自分に向かって言いきかせる。時間なんてたかが便宜的な区分じゃないか、待ち合わせに二十分やそこら遅れたって、そんなのは米ソの核軍拡競争や神の死に比べたらなんていうことないじゃないか、と思う。これが「それがどうした」の精神である。ただしこういう考え方に基づいて生きていると、気楽に生きて行くことはできるけど、人間的にはまず向上しない。P82〜83
まとめ
僕の父親くらいの歳の人が30代の時にこんな事言ってたと思うと何だか心強いですね。全部で
180ページ位の本ですが、あっという間に読み終わっちゃうと思いますよ。
